ヨーロッパで有名なお城を内装、内部構造の知識交えて紹介!

ヨーロッパで有名なお城を内装、内部構造の知識交えて紹介!

ヨーロッパのお城は、大聖堂とともに(ヨーロッパ)中世を代表する建造物の一つです。世界屈指の人気を博す史跡として君臨する一方で、過ぎ去った時代の名残が、森の中にひっそりと、あるいは都市の中に見え隠れしながら点在しています。

さながら、おとぎ話から抜けだしたような神秘的な外観に加え、内装もまた美術史に彩られ、格調高くデザインされたものです。そして本記事では、とりわけ後者の知識を交えつつ、ヨーロッパのお城独特の建築要素や五感を魅了する10の王宮について紹介します。加えて、日本のお城との違いもピックアップ。興味のある方はぜひ、最後までお読みいただけますと幸いです。

ヨーロッパのお城の特徴

ヨーロッパのお城の特徴

ヨーロッパのお城は、騎士道精神、壮大な戦い、王室への忠誠心など、基本的にロマンチックな理念が体現されています。おそらく、豪華絢爛な印象を持たれる方は多いでしょう。一方で、軍事面に舵を切ったかのように、防御に適した強固な壁を備えているお城も当然のごとく存在しています。むしろ、中世の時代背景もあってか、襲撃、砲撃、侵略に耐えることを目的に建てられたお城がほとんどといっても過言ではありません。

それらは、かつて防衛のために築かれた土地に現在もそびえ立っています。

ヨーロッパのお城に見られる内部構造と内装

ヨーロッパのお城に見られる内部構造と内装

お城の内部構造や内装は、時代を超えた秩序と現代的な魅力を備えた、壮大なスケールの匠の技といえます。用途に応じて複数の棟に分かれていますが、共同空間としては大広間であることが一般的です。また、美しく造園された中庭は、周りの建物に自然光を加えるだけでなく、セキュリティ対策としての役割も果たしています。

内装に関して述べると、象徴的なのは暖炉です。気候的な必需品であることに加え、視覚的な効果にも大きく寄与しています。

現代まで連綿と続くヨーロッパの建築様式としては、もはや欠かせない重要アイテムです。

ヨーロッパで有名な美しいお城・宮殿10選

ヨーロッパで有名な美しいお城・宮殿

それでは、前項までに述べた特性を踏まえて、ヨーロッパにあるお城や宮殿を具体的に、以下10個に絞り紹介します。

ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ)

ノイシュヴァンシュタイン城

ディズニーランドには眠れる森の美女の話をモチーフにしたお城がありますが、そもそもあれは、ここで挙げるノイシュヴァンシュタイン城からインスピレーションを受けたものだといわれています。そうした逸話も容易にうなずけるほど、圧倒的な世界観と美的センスが炸裂しているお城です。

たとえば「玉座の間」では金と青の鮮やかな色彩、モザイク、壁画が、相乗的に美しさを生み出しているといえます。また、人工の鍾乳石と小さな湖をやわらかな光が照らす洞窟は実に幻想的です。

リアルとファンタジーの境界を絶妙に切り崩し、新たな地平を描く魅惑的な空間の数々には、どうしたってうっとりせざるを得ないでしょう。

ウィンザー城(イングランド)

ウィンザー城

イギリスの首都ロンドンから1時間足らず。壮大にそびえ立つウィンザー城は、かのエリザベス女王のお気に入りで、週末用別荘の一つだったとか。

11世紀、征服王ウィリアムによって建てられたウィンザー城は、人間が住むお城としては世界最古だといわれています。金箔の天井、王室の肖像画、精巧なシャンデリアで飾られた豪華な大居室には、輝かしい歴史がふんだんに詰まっていて、とにかく派手な風合いが魅力的です。

見どころを挙げるなら、まず「セント・ジョージ・ホール」は無視できません。全長55mのこの部屋は、現在でも国賓の晩餐会などに使われています。

「メアリー女王の人形の家」も必見。豪華なミニチュアのレプリカです。水道、電気、ワインセラー……等々、驚くほど設備が整っています。

ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア)

ベルヴェデーレ宮殿

ベルヴェデーレ宮殿は、ウィーンの象徴的なランドマークです。入口から美しい柱が並ぶ「サラ・テレーナ」(ホール)、大階段を経て「大理石の間」が構え、金箔を貼った天井画や豪華なアパートメント・スイートが並んでいます。

ベルヴェデーレ上宮に飾ってあるのは、世界最大のクリムト絵画コレクションです。「接吻」はじめ名画の数々が展示されています。

上宮と下宮の間には、丁寧に植えられた花壇と噴水で埋め尽くされた、ウィーンを代表するフランス式庭園が広がっているのも特徴的です。バロック園芸の見事なオアシスは、日常からの開放に一役も二役も買ってくれます。“洗練”の言葉がピッタリです。

アルハンブラ宮殿(スペイン)

アルハンブラ宮殿

9世紀に建てられたグラナダの丘の上に建つアルハンブラ宮殿は、イスラムの影響を受けたムーア建築のなかでも、極めて優美な存在感を放ちます。

アーチ、庭園、中庭のシンフォニーは見事としかいいようがなく、アラベスク模様やモザイクで飾られた内装も、まさしく五感が喜ぶ構造です。12頭のライオンの彫刻に支えられたアラバスターの噴水がある荘厳な「ライオンの中庭」や8角形の美しいドームを持つ「アベンセラヘスの間」など、見どころ満載だといえます。

ペレシュ城(ルーマニア)

ペレシュ城

カルパチア山脈に位置するペレシュ城は、ステンドグラスの窓、華麗な木彫り、豪勢なタペストリー等々、その煌びやかな内装で知られています。

おそらく現地に出向けば、美術愛好家は展示された素晴らしい絵画に酔いしれ、歴史愛好家は大武器庫の印象的な武器のコレクションに目を奪われることでしょう。

その他、シルクに包まれたトルコ風サロンや、ミケランジェロからインスピレーションを得たというフィレンツェ風ルームなど、テーマとともに設けられた各部屋も人気を博すポイントです。

ベルサイユ宮殿(フランス)

ベルサイユ宮殿

絶対王政時代の栄華を象徴したベルサイユ宮殿は、どうしたって外すわけにはいきません。伝説的といっても過言ではない「鏡の回廊」に足を踏み入れれば、金色に輝く彫刻、まばゆいばかりのシャンデリア、357枚の鏡など、他に類を見ない壮麗なギャラリーが目に飛び込み、驚くこと必至です。「王妃の間」も別格。マリー・アントワネットのファンなら垂涎ものといえるでしょう。

ミラマーレ城(イタリア)

ミラマーレ城

トリエステ湾に面したのどかな場所にあるミラマーレ城からは、19世紀の王室の生活が垣間見えます。というのも、大公夫人の部屋に掛けられた水色のシルクのタペストリーや図書室の巨大な地球儀など、当時の調度品がすべてそのまま残されているからです。壁にずらりと並んだ貴重な書物、ホメロスやシェイクスピアの大理石の胸像は思い浮かべるだけで圧倒されます。とりわけ、軍艦の船室を模したマクシミリアン大公の寝室は、海好きはもちろん、普遍性を帯びながらも、多くの人の心を揺さぶるには申し分ないほどに魅力的です。

シェーンブルン宮殿(オーストリア)

シェーンブルン宮殿

シェーンブルン宮殿は、ハプスブルク王朝の夏の離宮として、ヨーロッパで最も重要な宮殿のひとつでした。政治家や王族をもてなすという永続的な役割を担ってきたこの宮殿は、外観、内観ともに麗しく、とりわけ、白と金のデザインが美しい大ギャラリーには、クリスタルミラー、巨大なシャンデリア、天井のフレスコ画など、必見の装飾が満載です。加えて、黒漆のパネルと黄金色で装飾された「漆の間」やエキゾチックな風景が描かれた「ベルグルの間」も見事の一言。いずれも想像を超えた楽しい部屋だといえます。

プラハ城(チェコ共和国)

プラハ城

世界最大の古城であるがゆえに、深い歴史を感じさせてくれプラハ城。

まず、ゴシック様式の「聖ヴィート大聖堂」には、多くのボヘミア王・神聖ローマ皇帝の墓があります。旧王宮では、「ウラジスラフ・ホール」の美しいアーチ型天井に驚かされること請け合いです。2階にあるプラハの街を一望できるテラスも秀逸。散策するならロブコヴィッツ宮殿に立ち寄ることをぜひお忘れなく。ここでは、ベートーベンやモーツァルトのオリジナル楽譜をはじめ、絵画や貴重な手稿など素晴らしいコレクションが多く展示されています。

フレデリクスボー城(デンマーク)

フレデリクスボー城

デンマークの豊かな過去に触れられるのが、フレデリクスボー城です。コペンハーゲンから距離にして約40km。総じて壮麗なお城です。大広間は特に煌びやかで、天井に関しては金箔を貼った肖像画や色鮮やかな装飾が一面に施されています。金、黒檀、銀で作られた見事な祭壇画がある教会も見逃せません。この礼拝堂には、フレデリクスボー城の至宝の一つに挙げられる「コンペニウス・オルガン」があります。1610年に作られた古の遺産と思いきや、驚くことにまだまだ使える現役バリバリの逸品です。

日本とヨーロッパで見られるお城の共通点と違い

日本のお城

ここまで、ヨーロッパのお城について書き連ねてきましたが、日本のそれとは、まるで別物なのでしょうか。あるいは、まだまだ知らない相違点が存在するのでしょうか。

たとえば、前者でいうと、周囲を圧倒すべく巨大であることは両者共通しています。やはり大きさは、贅沢の演出や支配力を誇示するために、必要不可欠です。

かたや建築様式、文化は、明らかに違いがあります。

そういうわけで以下、共通点と違いをそれぞれ整理し、お伝えします。

共通点

敵や脅威を発見しやすくするために、日本もヨーロッパも城の周囲を見渡せる監視塔が重要な役割を担っています。

また、守りを意識した造りなら堀も同様です。城への直接的な攻撃を防ぐべく、ヨーロッパでも見られます。加えて、同心円状の壁も城を囲めるために有効活用されている手法です。

さらには防御しつつ矢を射るなど攻撃にも転じられるよう、両者、小窓も設置される傾向にあります。

違い

ヨーロッパのお城の場合、日本とは異なり木材はほとんど用いません。代わりに、石材を多く使っています。

屋根のデザインに関しては、シンプルなヨーロッパに対して、日本は複雑です。基本、傘の多いピラミッド型であることが、まさに物語っています。

お城の内部は、ヨーロッパも日本もオープンスペースを広く取っていますが、美的感覚は全く異なるものといっていいでしょう。前者は石造りの大広間を中心とした構造で、壁を使い区切られていることが多く、後者は、必要に応じて襖で仕切られるケースもありますが、木造ならではの開放的な空間が目立ちます。

文化的背景まで含めて、ヨーロッパのお城を楽しもう!

文化的背景まで含めて、ヨーロッパのお城を楽しもう!

ヨーロッパのお城は、単なる建築目的に留まらず、芸術性が多分に重視されています。豪奢な部屋、惜しげもなく鏡を使った美麗な回廊、見事な眺望を誇る宮殿の庭園……等々どれを切り取っても魅力的です。また、日本のお城と比較してみるのも一興だと考えます。

文化的背景まで理解できると、お城自体をより楽しめるはずです。